11月に入り、そろそろ年末調整の事務を始めようという事業者の方も多いのではないでしょうか。今日は、その年末調整で使用する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、「扶養控除等申告書」)に記載するマイナンバーについて、国税庁が公開した最新のFAQ情報の要点を解説いたします。

Q1.扶養控除等申告書には、いつからマイナンバーを記入させればいいのか。

A1.平成28年1月1日以降に提出させるものについて、記入させる必要がある。
現在配布中の平成28年分の扶養控除等申告書には本人と扶養家族についてマイナンバーの記入欄がありますが、平成27年中に提出される場合はマイナンバー欄は空白でよいとされています。

Q2.従業員の手元にマイナンバーが届いていないが、扶養控除等申告書は提出させても構わないか。

A2.平成27年中に提出させる場合は問題ない。
A1.の通り、平成27年中に提出される場合、マイナンバー欄は空白でよいとされています。(そもそも、平成27年の年末調整にはマイナンバーは必要ありません。)

Q3.平成27年中に提出してもらった「マイナンバーが記載されていない扶養控除等申告書」は、平成28年になったら補完入力してもらう必要があるか。

A3.必要はない。
この場合は、平成29年分の扶養控除等申告書にマイナンバーを記入してもらうことになります。ただし、補完入力を求めること自体は問題ありません。

Q4.【重要】扶養控除等申告書のマイナンバー欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、マイナンバーの記載に代えることはできるか。

A4.可能である。これにより、扶養控除等申告書の保管に関する負担がかなり軽減される。

事業者は、一度従業員からマイナンバーを収集して、適切かつ容易に紐付けられるよう管理すれば、次回以降の扶養控除等申告書へのマイナンバーの記載を省略できることが、国税庁のFAQに記載されています。以下に、そのFAQを引用します。(強調は筆者)

平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号を記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない場合であっても、原則、その記載を省略することはできません。

しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し支えありません。

なお、給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。

(注)

  1. この取扱いは、原則として税務署に提出されることなく給与支払者が保管することとされている扶養控除等申告書について、給与支払者の個人番号に係る安全管理措置への対応の負担軽減を図るために、個人番号の記載方法として認めるものであることから、個人番号以外の扶養控除等申告書に記載すべき項目については、前年と変更ない場合であっても、記載を省略することなく扶養控除等申告書に記載する必要があります。
  2. 「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨が記載された申告書について、税務署長から提出を求められた場合には、給与支払者は扶養控除等申告書に従業員等の個人番号を付記して提出する必要があります。
  3. この方法をとった場合には以下の点に留意が必要です。
    (1)給与支払者において保有している従業員等の個人番号(従業員等の個人番号に異動があった場合は異動前の個人番号を含む。)については、扶養控除等申告書の保存期間(7年間)は、廃棄又は削除することはできません。
    (2)保有する個人番号については、個人番号関係事務に必要がなくなったとき及び個人番号を記載すべきであった扶養控除等申告書の保存年限を経過したときには、速やかに廃棄又は削除しなければなりません(廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において判断してください。)。

    (3)給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)には適切に個人番号を記載する必要があります。

個人番号の記載を省略した従業員と、実際に集めたマイナンバーを「適切かつ容易に紐付けられるよう管理」しておく必要がありますが、これは従業員データベースに登録する等が考えられます。また、後半の注釈にあるように、

  • マイナンバー以外の項目は省略できない。
  • 税務署から扶養控除等申告書の提出を求められたときは、事業者がマイナンバーを記載して提出する。
  • 従業員データベース等で管理しているマイナンバーは、扶養控除等申告書の法定保存期間内は削除できない。すなわち、退職者が出た場合であっても、当該退職者分の扶養控除等申告書の法定保存期間が完了するまでは、当該退職者のマイナンバーを削除することはできない。
  • 逆に、退職者の扶養控除等申告書の法定保存期間が経過し廃棄した場合は、従業員データベースに保存されている当該退職者のマイナンバーは速やかに削除しなければならない。

などの制限はあります。

しかし、これにより安全管理措置の対象となる書類を大幅に減らすことができるようになり、業務上の負担は大きく削減できます。さらに、最初の収集を扶養控除等申告書ではなくクラウドを使ってペーパーレスで行えば、一段と負担は軽くなります。業務の煩雑化・法的リスクを回避できますので、お奨めです。

他にも、国税庁のFAQには年末調整に関する情報がたくさん掲載されています。ぜひ皆様も一度ご確認ください。

監修:社会保険労務士法人アクシス代表社員 樫葉 稔

 

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