前回の続きで、社会福祉法人における施設入所者のマイナンバー取扱いについて解説いたします。

社会福祉法人において、施設が入所者に関する各種申請を代理で行うことは、珍しいことではありません。ただし、今後、マイナンバーを使用した申請を代理する際には、代理権を持っているかどうかが問題になってくることが予想されます。

マイナンバー法では、代理人が本人に代わってマイナンバーを提供することを想定していますが、その場合、代理人は代理権を確認できる書類を同時に提出または提示しなければなりません。

(以下、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則」より抜粋)

(本人の代理人として個人番号の提供をすることを証明する書類)
第六条  令第十二条第二項第一号の主務省令で定める書類は、次に掲げるいずれかの書類とする。
一  本人の代理人として個人番号の提供をする者が法定代理人である場合には、戸籍謄本その他その資格を証明する書類
二  本人の代理人として個人番号の提供をする者が法定代理人以外の者である場合には、委任状
三  前二号に掲げる書類の提示を受けることが困難であると認められる場合には、官公署又は個人番号利用事務等実施者から本人に対し一に限り発行され、又は発給された書類その他の本人の代理人として個人番号の提供をすることを証明するものとして個人番号利用事務実施者が適当と認める書類
2  個人番号利用事務等実施者は、本人の代理人から個人番号の提供を受ける場合であって当該代理人が法人であるときは、令第十二条第二項第一号に掲げる書類に代えて、前項各号に掲げるいずれかの書類であって当該法人の商号又は名称及び本店又は主たる事務所の所在地が記載されたものの提示を受けなければならない。

この条文でまず挙げられているのは、代理人として挙げられているのは「法定代理人」です。これは文字通り代理することが法定されている代理人のことで、一般には親権者や後見人などが該当します。法定代理人が本人に代わってマイナンバーの提供を行う際には、親権者であれば戸籍謄本、後見人であればその資格を証明する書類(具体的には「登記事項証明書」または「裁判所の審判書の写し+確定証明書」などになると思われます。)が必要になります。施設自体が法定代理人になっていれば、このような書類を使うことで代理提出が可能です。

二番目に挙げられているのは法定代理以外の場合(任意代理)で、この場合は委任状があれば代理できるとされています。入所者が委任状を書ける状態であれば、委任状をもらうのが一番早い方法です。ただ、入所者が未成年だったり、障害等で委任状を取ることが難しいケースもあり得ます。

上記の2つの方法が困難である場合は、第3の手段として、官公署又は個人番号利用事務等実施者から本人に対し一に限り発行され、又は発給された書類その他の本人の代理人として個人番号の提供をすることを証明するものとして個人番号利用事務実施者が適当と認める書類を提示する方法があります。長い単語で分かりにくいですが、これはどういう意味なのでしょうか?

結論だけを言えば、現時点では、国税分野については、入所者本人の個人番号カード・運転免許証・健康保険証・パスポートなどを提示することで、代理権の証明をすることができることになっています。(本人しか持ち得ないものを代わりに持っているのだから代理権があるのだろう、という判断になるようです。)

国税分野に限っているのは、国税庁からは「個人番号利用事務実施者が適当と認める」その内容について具体的な告示が出ているのに対し、厚生労働省など他の行政機関からは何も示されていないからです(平成27年10月30日時点)。社会福祉法人では社会保障分野に関する提出の方が多いと思われますが、現時点では社会保障分野では第3の手段は使えないということになります。今後の情報の更新に注目したいところです。

なお、前掲の条文の第二項は、法人が代理人をする場合の身元確認書類について定めたものですが、代理権を証する書類に法人の商号や名称などが入っていることが必要とされています。上記の第3の手段においては、代理権を証する書類として本人の個人番号カード・運転免許証・健康保険証・パスポートなどを提示することになるため、この条件を満たすのは難しいと思われます。よって、第3の手段を使う場合は、法人ではなく施設の職員が個人で代理をする方が良いと思われます(個人が代理した場合は、身元確認は代理人の運転免許証などで足りるため。)。ただし、国税分野の届出であれば、登記事項証明書や印鑑登録証明書で法人の身元確認はできるとされています。

というわけで、いかがでしたでしょうか? 結論を言えば、社会福祉法人が入所者の代理でマイナンバー関連の手続きを行う道は、まだ完全に開けているとは言えません。社会保障分野の手続きを代理するには厚生労働省からの通達待ちという状況ですが、希望的観測を交えて言えば、おそらく国税庁の告示内容に合わせてくるのではないかと思います。この件については、続報が入り次第、当ブログでも解説していきます。

監修:社会保険労務士法人アクシス代表社員 樫葉 稔

 

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